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醤油搾りの日。

1.

大田原地区在住のヨコヤマです。

この地域で暮らすようになって、なんだかいつも自分たちで食べるもののことを考えているような気がしています。山里をめぐる季節ごとに食べものとそのための仕事があって、家族みんなでたくさんの手間と時間をかける生活です。

今日はわが家の醤油を搾りました。

 

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搾るのは、おととしの春仕込んだ醤油のもろみです。知人と持ち寄った大豆に醤油蔵で麹付けをしてもらい、手入れをしながら発酵させること2年。桶のなかで香りのよいもろみに仕上がりました。

いまのように流通の発達していなかった頃には、おおくの集落に麹をつくる「むろ」があり、収穫した大豆や穀物をつかって、このように醤油や味噌を仕込んでいたそうです。もち回りで日どりを決め、小春日にご近所で寄りあつまって仕込みをしていた日のこと。仕事のあいまには「おこびれ」とよばれるお茶の時間があります。お漬物や煮物をもち寄っては春の気配を喜び、はずむ世間話に花を咲かせたことでしょう。

昔ながらの食べものをつくる仕事には、そうやっていつも季節の実感がついてまわります。この土地で同じように暮らしていた人たちが、同じように日々の営みを喜んでいたことを思い、連綿とつづく生活のありようを感じるきょうの日です。

 

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わが家の醤油搾りも、この季節の恒例行事。

まずは大釜でお湯をわかし、桶のもろみをのばします。それを何枚もの搾り袋に分けて流しこみ、「ふね」とよばれる道具におさめていきます。

 

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油圧ジャッキをかけて搾りあげると、だんだんに濃くすきとおった色の醤油が染み出します。ふねの口からあふれる醤油が、陽のひかりをうけたその瞬間の輝きといったら!

茶。橙。赤。紫。そのどれもを包みこむようにゆたかな黒いろ。

搾った醤油はもう一度お釜にもどして火入れをします。温度があがってくると、あたり一面に香ばしい匂いがひろがります。その後一週間ほど澱をしずめて、びんに詰めます。我が家でつかう醤油と、お世話になっている方にさしあげるのにたっぷりの量。ことしの醤油もよくできました。

 

 

2.

作業をしながらNHKのラジオを聞いていたら、ちょうど植野広生さんという方が、六角精児さんと澤田彩香アナウンサーと、食べものについての話をしていました。「おいしさ」とはいったい何か、という問いに答えて曰く、「日常のありがたさ」を感じることだと。

わたし自身、なにもかも手づくりがイケてると思うわけではありません。ひとが生きていく上にはさまざまな暮らしの場面があり、それに沿う食べものや食べ方があります。

その上で、おおくの巡りあわせのおかげで、こうして家族の口にするものをつくることのできる今日があったこと。まいにち使う調味料に手をかけられる暮らしのこと。自分のうまれるはるか昔から営まれてきた手仕事をいまに引き継げたこと。語のほんらいの意味でマジありがたい、と思った今日の仕事でした。

 

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搾った醤油を、さっそく安曇野のわさび漬けに落としてみました。

大豆と小麦、塩、水だけが原料の、素ッ気ないほど素朴な風味。食材やほかの調味料の味を損なうことなく引きたててくれて、ふだん使いにぴったりです。そして気がついてみれば、その素朴さの裡に、どこまでもたどっていけそうにゆたかな香りと味わいがあること。そんな醤油です。

 

子どもの春休みには味噌も仕込みまーす。

目次

この記事を書いた人:移住者ライター ヨコヤマタケオ

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